離婚を強く希望しているならば、別居をすることにより、状況に変化を促せる可能性があります。
とくに話し合いが困難な相手であると、調停などの舞台へ進み、第三者に調整を求めるのが得策かと思われますので、その為の第一歩が別居なのです。
別居をする気がなくとも、DVやハラスメントの危害を加えてくる相手方との生活ですと、日々何があるかわかりません。
着の身着のままで逃げることがあるかもしれませんし、心構えとして別居後の見通しも知識として持っておくと良いでしょう。
ここでは、一般的に多いとされる、経済的弱者目線(女性目線)で、別居するにあたっての知識をご共有していきます。
予め念押しをいたしますが、必ずこれらの準備をしなければ別居が難しいというわけではありません。
現状、手ぶらで逃れたとしても、今後の人生に悪影響が及ぶわけではないので安心して下さい。
目次
別居前にすること
①相手方の身分証明
出来れば別居前に、相手の身分を証明するものを取得しておくと便利です。
・マイナンバー
・免許証コピー
・パスポートコピー
お子さんがおられるならば、様々な手続き関係で、所得が多い方の親(多くは父親)の証明が必要になることが頻繁に訪れます。
高校生や大学生のお子さんですと、学校の選択科目に短期留学なんて珍しくありません。未成年ですと両親のパスポートコピーの提示を渡航先で求められますので、様々な可能性を鑑みて、相手方の身分を証明するものは、所持しておきましょう。
②相手方の通帳コピー
・通帳のコピー
離婚紛争が本格化していくと出てくる財産分与etc.お金にまつわる揉め事を最小限に抑えるために、お金の流れを把握できれば良いですね。
コピーが難しいならば、銀行名と支店名を把握していれば、後から開示を求められる可能性が出てきます。
ゆうちょ銀行、メガバンクならば支店名までは必要ないらしいです。
③相手方の所得の証明
相手方の所得がわかるものは何かと必要になってきます。
婚姻費用分担請求調停を申し立てる際や、養育費を決める際などの必須書類です。
たとえば源泉徴収票コピーがあればOK
それが難しければ、役所で所得証明書or課税証明書を取得しておきましょう。
配偶者であれば取得は難しくないかと思われます。別居後も住所が同じであれば取得できますが、機転の利く相手方だと、役所に手を回し、あなたが引き出せないようにしているパターンもありますので、別居前に最新の証明書を取得しておけるならば準備しておいてください。
本当は、このような書類は相手方が自分で準備するものですが、あえて提出しないという人も時に現れますので、念の為にあれば良いというものになります。
④その他必要書類
余裕があれば、各種書類のコピーをしておくことが出来れば二重丸。
不動産契約書 ・学資保険やその他保険証券、株式証券etc.
泣き寝入りを最小限に抑えるためにも、該当しそうな書類は把握しておきましょう。
更に余裕があるならば、預貯金以外の財産分与のことも考えてみると尚良いです。
家土地がある場合~役所で固定資産税評価額の申請(財産分与の対象になるので)
平成20年4月以前の結婚の場合~厚生年金の合意分割のための情報通知書を年金事務所に行って作成してもらう。(合意分割は協議方法しかない為)
⑤自分名義の貯蓄を整理する
婚姻前からあなたが所持していた貯蓄や、あなたのご実家からの贈与などの特有財産にあたるものは、婚姻後に夫婦で築いた共有財産と一緒にされないように、しっかりと分けておきましょう。
共有財産に関しては、別居をした日の預金残高が財産分与対象額になります。
別居する以前に、できるだけ多くの預金を動かしておくのがいいと思うかもしれませんが、あなたの口座に移しても、共有財産ならば財産分与の対象になります。
共有財産を隠したいと考えるかもしれませんが、良くない行為です。
とはいえ、常識的なコミュニケーションが図れない相手ですと、別居したとなると、とことんお金を独り占めしてやろうという思考にシフトする場合もあります。
嫌がらせ目的の兵糧攻め(婚姻費をくれない、慰謝料請求、リーガルハラスメントetc.)を次から次へと仕掛けてくる人も時折おられるので、ご自身とお子さんの命を守る範囲の資金準備は、念頭に置いておく必要もあると思います。
しかし別居時に、まとまった金額の移動があったとしても、別居に必要な経費として捻出してしまったとしての主張は認められるかもしれません。
➅もう戻らないつもりで荷物をまとめる
別居するにあたり、大事な荷物は全て持って出ることをお勧めします。
後々、アレを取りに行きたい、アレを送ってくれない?などのやり取りが可能な相手方なら問題ないですが、時折、荷物を運び出すことを許さないという相手方もおられます。
この手のトラブルを未然に防ぐためにも、別居するならば二度と戻らないつもりの心構えでいるのが無難です。
身の回り品ならば、持ち出しを忘れてしまってもある程度は諦めがつくかもしれませんが、盲点になるのは想い出品。
アルバムや録画した子供のビデオなど、後々になり「しまった!忘れていた!」と嘆く方が多いです。
かなりの痛手となるNO,1とも言えるのが、母子手帳
そのようなものは前もってまとめて準備しておきましょう。
⑦相談履歴を残しておく
公的機関での相談履歴を残しておくこと。
相談機関は、知識を得るために利用するわけですが、相談履歴があると、気まぐれで突然いなくなったわけではないことを証明できる可能性があります。
相談履歴は、シェルターへの保護を求めた時などの強い味方にもなりますので、日頃から重ねておくと良いです。
⑧荷物の運搬
引っ越し準備、荷物の運搬など、急を要する方に適したサービスを知っておくことも、スムーズに別居を進めるための助けになりますので、経験者の声を集めた記事を参考にして下さい。
まとめ
①相手方の身分がわかるもの。マイナンバー、免許証コピー、パスポートコピーetc.
②通帳コピー(コピーが無理ならば銀行名支店名を把握しておく)
③相手方の所得がわかるもの。源泉徴収票がなければ所得証明書もしくは課税証明書を役所で取っておく。
④保険証券などの各種書類情報を控えておく。
⑥もう戻らないつもりで想い出品などもまとめておく。
⑦女性センターや公的機関での相談履歴を日頃から残しておく。
別居完了後は住基ロックなども考えましょう。
繰り返しになりますが、ここで提案している別居準備はあくまでも余裕があればこのような準備をすれば良いですというものであり、何一つ実行できなくても大丈夫です。
”諸々と後から面倒くさい”というだけのことであり、絶望的な別居生活に突入するわけではありません。
危険な環境にいるならば、準備などよりも、とにかく避難することが先決です。