離婚紛争が裁判所へと舞台が移動するならば課題として出てくる婚姻費用分担請求調停についてここでは考えて行こうと思います。
婚姻費とは?
婚姻費とは生活費のことです。
夫婦が別居中であっても所得の多い方が家族の生活費を分担する義務があります。
一般的に女性が多くなりますが、所得の少ない方は婚姻費の請求をする権利があることを知っていますか?
別居しており、配偶者から生活費を貰っていなくて、申し立てもまだというならば急いで動いて欲しいと思います。
婚費は裁判所へ申し立てをした月から支払いが発生します。
調停期日が何か月も先になろうが、申し立てをした月が基準です。
万が一支払いが滞っても強制執行で給料からの差し押さえが可能ですので、出来るだけ早期の申し立てをするべきです。
それから同居中であっても生活費を十分に貰っていない経済DV状態ならば調停の申し立てが可能。
弁護士によっては出来ないと仰る場合もあるのですが、そのような事例を知らないだけのようですので自分の知識として持っておきましょう。
しかし暴力行為が懸念される配偶者ならば、危険ですので同居中の申し立てはオススメできません。
そういう危害を加えてくる相手方ならば、出来る限り別居のステップは踏むべきだと思います。
離婚に同意させるには婚姻費用分担請求調停が戦略になる
離婚に同意してくれない相手方だった場合、この婚姻費請求がスピード解決の鍵になることがあります。
婚姻費請求は戦略として会話が成立しない相手との離婚にはかなり有効な方法であることを知っておきましょう。
その為に重要なポイントとしては、まずは離婚調停をしなければと思ってしまいがちな思考を変える必要があります。
離婚調停の申し立ては思いとどまり、最初は婚姻費用分担請求調停を申し立てましょう。
↓
婚姻費用分担請求調停申立
↓
ストップ
これでOK
このまま待ちましょう。
なぜ離婚調停を申し立てしない方が良いのか?と不思議に思うでしょうが、離婚調停に関しては相手方に始めさせる方がより離婚が確実になるからです。
例えば協議の段階でも離婚を拒む相手方だと、調停となり舞台が裁判所になろうとも離婚を拒否する可能性があります。
相手方に暴力や不倫などの非がない限り、または証拠などがない限りは、調停で離婚を拒否されてしまうと不成立になり離婚できなくなるというリスクを知っておいて下さい。
その他、あり得ない条件を並べ立てられることも考えておきましょう。
「財産分与も養育費も放棄するなら離婚してやる」
「慰謝料払え」etc.
相手が常識的なコミュニケーションが難しいならば、このような揉め事が発生し長期戦に突入するのはあるあるです。
しかし、婚姻費用分担請求の調停を起こされているとなると、自分がこじらせればこじらせるほど、離婚成立までに支払うお金(婚姻費)が長期に渡り加算されていくのです。
それに気づいた相手方は急いで離婚調停を申し立ててくれるはず。
いわゆる根を上げさすのです。
お金に汚い相手方の場合は、早期でこのトラップにかかりますので、解決に向けて駒は進み出すでしょう。
相手方との会話の成立が困難な場合は、この方法を是非試してみてください。
早期解決へ向けてコチラが主導権を握れます。
調停申立の手順と費用
調停を始めるとなれば弁護士?と考えてしまいがちですが、そんな必要はありません。
婚姻費の請求申し立てくらいならば自分で行えば良いと、経験者ならばアドバイスします。
弁護士は調停中でも依頼できますので、急ぐ必要もなく、相手方が弁護士を立てたなどを知ってからでも遅くありませんので安心して下さい。
弁護士を依頼をすると着手金に数万円~数十万かかってしまうかもしれませんが、個人での調停申立は約1,200円~で出来ます。
その他、戸籍謄本や課税証明(源泉徴収票)が必要になりますが、約2,000円もあれば完了。
弁護士がいれば頼れるし安心感はありますが、経済的DVにあっていたり、経費を抑えたいと考えるならば、是非ご自分で始めてみて下さい。
注意点
婚姻費調停を起こすにあたっての注意点を上げます。
まずはっきりさせておかねばならないのは、あなたは離婚したいですか?それを自分で知っておきましょう。
万が一、離婚を悩んでいる、本当は離婚したくないと考えているならば、婚姻費用分担請求調停は起こすべきではありません。
この婚費請求を申し立てると、早期で離婚へ向けて駒が進む可能性があります。
こちらが離婚したいならば婚費調停は使えるというだけであり、離婚の意思がない方には該当しない戦略であるとお伝えしておきます。
そしてもう一点、婚費調停には必要書類として双方の所得がわかるものが必須になります。
申し立て時にあなたは自分の源泉徴収票もしくは所得証明や課税証明を提出しますが、調停の期日が決まり、相手方にも期日と必要書類の知らせが送付されます。
それに従い、普通ならば相手方も自分の所得の証明を提出する流れになりますが、息を吸うように嫌がらせをしてくる相手方だと、自分の所得証明は提出しない可能性があるのです。
何かにつけてゴネる習性があることは、既にご承知のことかと思います。
そのような懸念材料があることを想定し、あなたが相手方の所得の証明を準備
しておきましょう
別居前に忘れずに相手方の最新の証明を取得しておくことをオススメします。
別居後でも住所が一緒であるならば役所で配偶者の所得証明は引き出せますが、機転の利く相手方だった場合、あなたが引き出せないように役所に手を回している可能性もありますので、そうなった場合は婚費調停が長引いてしまう恐れが出て参ります。
そしてここでの提案はあくまでも一例になります。
中には何が何でも婚費を払わない、離婚もしないとゴネまくる相手方もおりますので、そのような時こそは弁護士を立て、更なる策を立てることも検討しましょう。